お盆棚経
本年も酷暑のお盆の時期がやってまいりました。
棚経周りも例年通り御参りさせていただいております。
先祖供養の文化として日本人に広く浸透しているお盆供養ですが、実はもともとインドにおける説話が起源でございます。
※以下、昨年のお盆記事から引用。
お盆は正式名称を盂蘭盆会(うらぼんえ)と言います。お盆という仏事は「盂蘭盆経」というお経の中に説かれている話が起源となっています。
その話とは次の通りです。
夏の暑いある日、お釈迦様の弟子である目連尊者は、神通力を使って死んでしまった母が今どうしているのかを見てみることにしました。
すると母はなんと餓鬼道という世界に落ちていました。餓鬼道とは食べ物や飲み物がすべて燃え尽きて消滅し、飢えに苛まれ続けるという苦しみの世界です。
母が餓鬼道の世界におちたのは、自分の子供を愛するあまり、吝嗇で他人に冷たくした生前の行いが原因でした。
目連さんは嘆き悲しみました。そしてどうにか母を助ける方法はないかと、お釈迦様に救う方法を聞きに行きました。
するとお釈迦様はこのように目連さんに説きました。
「多くの僧が夏の修行を落ち着ける日(7月15日)に、彼らに対して飲み物や食べ物を提供し、母に代わって施しの功徳を積むことで、餓鬼道の母を救うことができるでしょう。」
お釈迦様の説かれた通りに目連さんが供養をすると、母は救われ餓鬼道の苦しみから解放されたのでした。
この盂蘭盆経の説話がもととなり、7月(または8月)半ばに先祖供養を行う期間を「盂蘭盆会」と呼ぶようになりました。そしてその盂蘭盆会にあわせ、先祖供養のために徳を積むべく、餓鬼道の人々を供養する仏事を「施餓鬼会」と呼びます。
昨今の日本の夏はインドを想わせる酷暑となっておりますが、先祖供養の際は目連さんのような涼やかな心で臨みたいものです。
ちなみに一説では、目連さんの母が餓鬼道を脱したことに喜んだお釈迦様の弟子たちが、歓喜してその場で踊り始めたのが、現代の盆踊りの起源とも言われております。
〇空海さんの御言葉〇
「聖人の薬を投じること、機の深浅に随い、賢者の説黙は時を待ち人を待つ。」
・釈迦のような聖人が教えを説く様は、まるで医者が病気に応じて薬を処方するようである。機に応じて人に応じて適切な説法を送る。それ故に黙して語らず時を待つこともある。