令和六年修正会
大聖院は本年も年明けと同時に修正会を行いました。
修正会は「しゅしょうえ」と読みます。
先年の自分の行いを懺悔しながら、新年がより良い年であるよう祈る法会であります。
大晦日は若干の雨が懸念されましたが、概ね天候にも恵まれ、過ごしやすい年越しとなりました。
年末年始の仏教行事といえば、一般的に「除夜の鐘突き」が有名です。
大聖院の場合、行事としての鐘突きは行っておりませんが、年明けと同時に修正会開始の合図として鐘を突いております。
平素は時刻や法会開始を知らせる道具として、多くの寺院で用いられる釣鐘ですが、鐘を突く目的はそれだけではありません。
高野山真言宗開祖の弘法大師空海は次のように説かれています。
「靈鐘は、苦類の息(いこ)う所なり。」
鐘の重厚な音色は、苦しみを癒すという意味です。
古来から寺社の鐘の響きは、聞く者の苦悩を滅する力があると、空海さんのみならず大勢の人々に信じられてきました。
新年到来の前に、百八煩悩を滅する除夜の鐘百八打の文化も、おそらくこの信仰がもととなっております。
尽きぬ悔いや悩みを抱えつつ、それでも迎える新年に少しでも加護を得たい。そんな祈りがかたちになったものが、「修正会」や「除夜の鐘突き」なのだろうと思います。
甚だ微力ではございますが、大聖院修正会が法会に参加された皆様にとって、癒しの一助となれたならば、大変幸いでございます。
〇空海さんの御言葉〇
「靈鐘は、苦類の息(いこ)う所なり。」
・幽玄なる鐘の響きは、苦悩を癒す憩いとなる。