辰年を迎えて 1
新年明けましておめでとうございます。
令和六年は大聖院にとっても縁の深い「龍」の年となります。
古来より日本において、龍は水の神として信仰されていました。
農耕生活に必要不可欠な雨をもたらす神として、雨乞いの対象となったり、川や海なので仕事をする人間の守り神となったりと、水神として人間生活に関わり合いながら、多くの人々に親しまれてきました。浦島太郎の物語に登場する竜宮城とは、龍王が住処とする宮殿のことであり、海の水底には龍が住む絢爛な理想郷があると、万葉集のような古典にも歌われてきました。
仏教においては、仏法を守護する八尊「八部衆」の一員とされ、天魔などの悪しき存在から仏界を護る護法善神とされております。お釈迦様が誕生した際には、天空から甘露の雨を降らせて祝い、お釈迦様が成長して霊鷲山という場所で説法を行った際には、龍はその場を守護しながら説法を聞いたという説話もあります。
日本のお寺には、龍の装飾や画、または龍像を配している寺院が多くありますが、これは龍が持つ、寺院を火災等から守る水神の功徳、お堂等に魔物を侵入させない守護神の功徳を、寺院に施すためであります。
また龍はめでたい存在として、「吉祥」の側面があることから、福を呼び込むための福の神としての意味合いもあるのかもしれません。
様々な混乱が続く令和でございますが、諸龍の加護のもと、皆様が良い一年を過ごされますように、心からお祈り申し上げます。
・大聖院赤龍天井画についてはこちら
天井画について
〇空海さんの御言葉〇
「飛龍は何れの処に遊ぶか。寥郭(りょうかく)たる無塵の方。無塵寶珠の閣、堅固金剛の墻なり。」
・飛翔する龍はどこへ飛んでいくのだろうか。それは澄んだ大空の果てにある堅牢にして煌びやかな仏の宮殿を目指しているのだろう。