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お盆棚経

本年もお盆にあたり、檀家様の棚経まわりをさせて頂いております。本年はあまり天候には恵まれず雨に降られております。

お盆という仏教行事の起源は、以前掲載したお釈迦様と弟子の目連尊者の説話に由来します。(下記リンク参照)

輪廻転生に深く関わりのある説話ですが、転生、生まれ変わりというものについて、真言宗開祖の弘法大師空海は自身の著作の中で次のような言葉を遺されています。

「生生生生暗生始 死死死死冥死終」

・生まれ生まれ生まれ生まれ、生の初めに暗く、死に死に死に死に、死の終わりに冥(くら)し。

人は生死の転生をどんなに繰り返そうとも、自分の転生前や転生後の事を決して知り得ない。生まれてきた原因や意義のような生の根源を知ることはなく、死した後に自分がどのような先を歩むか知る術は無い。という意味の言葉です。

また次のような言葉も遺されております。

「前生修善今生得人 此生不修還墜三途」

・前生に善を修め今生に人を得、この生に修めずは還って三途に墜ちん。

前世に善行を積んできたからこそ人間世界に転生できたのであり、もし現世でその善行を絶やしてしまえば、地獄餓鬼畜生のような苦しみの世界に転生してしまうであろう。という意味です。

・大聖院本堂空海坐像

目連さんの母親は、自分では知り得ず理解が及ばない前世や来世の業というものを無視し、ただ現世にのみ執着し、他者に善行を施さなかったため餓鬼道に落ちてしまいました。

目連さんの母親に限らず、現世への執着は誰しもが心当たるものであり、人を取り巻く因果とは無情にして恐ろしいものだと感じます。

お盆というのは、そんな母親を息子の目連さんが供養によって救う説話がもととなっています。

お盆という行事は亡き先祖を想うという意義の他に、先祖供養という善行を積むことで来世の自分も想うという側面があるように思います。

(しかしながら、先祖供養が来世の自分を救うためだけの手段に傾倒してはならず、慰霊供養の本分を見失ってはならないという理屈もあり、なかなかに難解な部分でありますが・・・)

空海さんの遺訓による自戒、先祖代々の方々への敬意を胸に、目連さんのような涼やかな心を以って、ただただ供養する想いでお盆に臨みたいものです。

皆様や皆様の御先祖様にとって、本年もより良いお盆でありますよう、心よりお祈り申し上げます。

・お盆の起源について

お盆

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