午年を迎えて
あけましておめでとうございます。令和7年は馬の年となります。
馬は古来より人間にとって近しい動物であります。それ故に世界各地の伝記や伝説の中で馬は頻繁に登場し、ときには神仏の使いとして信仰の対象にもなりました。
密教経典においては馬が力強く疾走する様子は、世を常に救おうと努力する菩薩の精神力に喩えられます。また馬はその活動力から、動物の中でも草や水を多く求めるとされ、その貪欲さも菩薩の四弘誓願(全ての菩薩が常に心掛け、求道心をもって実践する四つの誓願)の精神に喩えられます。
そして数多いらっしゃる菩薩の中でも、飢えた馬の如く「悩める人々を救いたい」と渇望し、救世のため奔走する菩薩が馬頭観音菩薩になります。

頭上に馬の頭を乗せているのでこの名前があり、菩薩としては珍しく、明王のような恐ろしい忿怒形をしています。これは馬が煩わしい雑草を食べ尽くすように、人々の煩悩をすべて消滅させたいという姿勢が強固であるがゆえに、あえてこのような様相をされているといわれております。
信仰によるご利益は多岐にわたり、難を俊敏に避けながら目的地まで無事に人や荷物を届ける馬の性質から、無病息災、交通安全、心願成就が有名です。また動物にちなんだ仏様であるということから動物供養の主尊となったり、馬は農業にも従事することから五穀豊穣の神仏として供養されることもあるそうです。
午年の本年は、馬頭観音菩薩の霊験あらたかな一年になりそうですね。
ちなみに根岸でも馬頭観音に礼拝できる場所があります。市営バス103系統のバス停「根岸台」の近くにある馬頭観世音と記された石碑があるのを皆さんご存じでしょうか?

根岸は日本で初めての本格的競馬場がつくられた土地であるということで、現在でも馬関連の施設が残っており、この石碑もそのひとつです。こちらは公益財団法人馬事文化財団が管理するものであり、もともと競走馬をはじめとした競馬場の馬たちを供養するため、馬頭観音の功徳を施し建立された仏塔であるといいます。

皆様も午年の砌に、訪れてみては如何でしょうか。
また、現根岸森林公園にある「馬の博物館」の敷地内にも、馬頭観音の石仏が鎮座しているという話ですが、本年年始は施設が全面改修中ということで、残念ながら礼拝、撮影させて頂くことが叶いませんでした。



改修が終了した際に、改めてお伺いしたいと思います。
混迷が続く令和の世でございますが、雄健な馬脚の如く、着実に歩みを進めていきたいものです。
〇空海さんの御言葉〇
「大覚の聖君は慈騎にむちうち、以て四魔の夷に赴かん。」
・悟りの境地に至った仏は慈悲の馬に騎乗し、天魔たちを征する。





