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令和八年春彼岸棚経

ようやく寒さもやわらぎ、春のお彼岸を迎えました。本年も檀信徒の皆さまへの棚経まわりをさせていただいております。

春は陽炎(かげろう)の季節です。陽炎といえば夏のイメージがありますが、実は春の季語です。

地面が日光と気温に温められることによって蒸気が発生し、その蒸気によって景色が乱れたように見える現象が陽炎です。昔の人々は揺らめく陽炎を見て、冬の終わりと春の到来を観したのです。

仏教には陽炎の仏さまが存在いたします。名前を摩利支天(まりしてん)といい、戦国大河ドラマが好きな方は耳にしたことが多い名前かもしれません。

摩利支天という名前は、もともとインドでの呼び名である「マリーチ」の音写名であり、マリーチは陽炎を意味します。陽炎は太陽光と非常に密接な関係にあることから、以前紹介した日天と近しい存在の仏といわれています。

・摩利支天

陽炎は何者にも触れられず、すべての物が通過して害することが出来ないという性質から、戦場にて刀や矢に当たらなくなる功徳が得られるとして、摩利支天は戦国武将に広く信仰されました。山本勘助や毛利元就が信仰武将として有名です。

摩利支天や日天の加護のもと、皆様の御先祖様が難を離れて陽の如く暖かな後生を得られますよう心からお祈り申し上げます。

仰ぎ願わくは摩利支天、陽春の砌に我ら衆生みそなわし、稀有なる神通の妙力以て、大聖院檀信徒各家に除災招福の利益を垂れ給わんことを。

〇空海さんの御言葉〇

「遅遅たる春の日は風光を動かし、陽炎は粉粉として広野に飛ぶ。」

・ゆっくりと過ぎる春の日に風や光が動き、陽炎はしきりに広野に現れる。

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